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ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

どうしてこの本を選んだか

SNSで流れてきてのを目にした。昨今の日本ではジョブという単位に人をアサインするというジョブ型が少しずつ増えているように思える。
雇用の決定として終身雇用雇用が支えられなくなり、ジョブ型に移行するのはえ、当然の流れだと思う。
しかしながら、ジョブ型雇用というのが一体何なのか、自分の中で全然わかっておらず興味もあったので読んでみた。

概要

「ジョブ型」という概念は広く使われるに至ったが、今や似ても似つかぬジョブ型論がはびこっている。ジョブ型とは何であるかを基礎の基礎から解説した上で、ジョブ型とメンバーシップ型の対比を用いて日本の労働問題の各論を考察。隠された真実を明らかにして、この分析枠組の切れ味を示す。

感想

この本を読んで、ジョブ型とは日本以外の世界で一般的な雇用方式であるということがまず一つ分かった。
それに対し、終身雇用といわれる日本の雇用形態が「メンバーシップ型」と呼ばれ、会社の中での家族のような1メンバーとして扱われるいう性格を持つということもわかった。
しかしながら日本の不況の中でこの終身雇用を前提とした「メンバーシップ型」は崩壊しつつあり、今後ジョブ型に移行するのではないだろうかというのが自分の考えだ。
どちらがいい悪いとか、そういうものではなく、それぞれがそれぞれの社会にが採用されているというだけに過ぎず、どちらかの優劣を決めるものではない。 そう思いながらも「ジョブ型」に比べ、「メンバーシップ型」はやはりジョブに対して仕事に対しての報酬という形ではあまり自然な形ではないのではないだろうかということが自分の感想として思った。
じゃあジョブ型がいいかといえばそういうわけでもなく、メンバーシップ型では評価される「横とのつながり」、「人間関係を潤滑にする」ような立場の人はジョブ型やはり評価がされづらい。 その部分のジョブの隙間となるような評価されないというところをなんとか埋めていこうと試みるジョブ型雇用側も課題点を抱えていることもわかった。

今後への活かし

具体的に活かせるようなことは特に思い浮かばない。
一つの知識として、ジョブ型・メンバーシップ型二つの雇用形態に大別されるということがわかったのが大きな収穫であった。

Notes

  • アメリカであれ、メンバーシップ型であれ、ハイエンドの仕事になればなるほど、仕事ぶりを厳しく評価されますし、ミドルから下の方になればなるほど、いちいち評価されなくなります。それは共通ですが、そのレベルが違うのです。多くの人とは、多くの人の常識とは全く逆に、ジョブ型社会では一部の上澄み労働者を除けば仕事ぶりを評価されないのに対し、メンバーシップ型では末端の平社員に至るまで評価の対象となります。そこが最大の違いです。
  • メンバーシップ型の社会においては、具体的に労働に従事したり、報酬が支払ったりすることよりも、社会の一員であるという地位ないし身分を設定することの方がはるかに重要であるということを、この難易度という概念が雄弁に物語っているということもできるでしょう。
  • 日本において一番重要なのは、採用権限がある仕事をする労働者を必要とする現場の管理者ではなく、本社の人事部長局にあるということです。なぜ採用権限が本社の人事部局にあるかというと、それはここの職務の遂行ではなく、長期的なメンバーシップを付与するか否かの判断だからです。
  • 就職の際に企業が若者に求めるのは、その企業で使える技能を学校で身につけてきたかどうかではなくの企業で一から厳しく訓練するのに耐えられる素材かどうかなのです。これを私は、教育と職業の密接な無関係と呼んでいます。
  • ジョブ型社会というのは、そうした視覚なきスキルを素直に認めてくるような仕組みではないということなんです。
  • 日本のようなメンバーシップ型社会であれば資格などといううるさいことは放っておいて、同じ社員同士あいつはできると理解し合っていればいいのですが、ジョブ型社会ではそうはいかないのです。
  • 使用者側の主張において、労働者の能力を主たる雇用終了理由としている時間の数はそれほど多くないうえに、抽象的かつ曖昧なものが多く、具体的にどの能力がどのように相続しているかが明示されたケースはあまりありません。
  • 戦後、日本社会が戦前日本社会と異なり、また戦後欧米社会とも異なり、エリートとノンエリートを入口で区別せず、頑張ったものを引き上げるという意味での平等社会を作り上げてきてしまう宝です。
  • なぜ上司や先輩が分かって社員を鍛えるものだとみんな思っているのかという点です。
  • 相手が何もできないわからない素人だから、少々手荒いでも教えてあげないと使い物にならないからです。なぜそんな鍛えないといけないような素人わざわざ使うのですか?とジョブ型社会のええ人であれば聞くでしょ?うちゃんとしたちゃんと資格を持ち、その仕事ができると確認した人を雇えば、そんな無駄なことをしなくてもいいのにとそう。ここにジョブ型社会とメンバーシップ型社会を隔てる、深くて暗い断絶の皮が流れているのです。

買ってねー

おすすめ度:⭐️⭐️⭐️⭐️☆

ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機