概要
超高収益企業キーエンスを貫く1つの根本的な考え方「性弱説」をあらゆる側面から解説―――。
今まで誰も真正面から取り上げてこなかったキーワードを、日々現場で忙しく働く若手から、たくさんの部下を束ねる管理職から経営者までのすべてのビジネスパーソンに向けて、キーエンス出身の著者がとことん掘り下げて伝えます。
本書は、性弱説の考え方と、キーエンスが採用する具体的な制度の成り立ち・役割を学びながら、自身の日々の働き方を改革する仕事術の本です。同時に、部下のやる気を引き出し、組織全体の成果・効率を高めるマネジメント・組織論の本でもあります。
性弱説とは、人を善悪ではなく弱いものと捉え、その前提に立ってビジネスにまつわる仕組みや制度を整えていくという考え方です。キーエンスが実践し、これまでにも様々な書籍やビジネス誌で語られてきた仕組みや制度は、すべてこの性弱説が基点になっていると言っていいでしょう。
社員、取引先、顧客など、ビジネスには多くの人が関わっています。その人たちと徹底的に向き合ってきた会社がキーエンスです。
著者はそんなキーエンスの中枢である新商品・新規事業企画担当を長年に渡って任されてきた高杉康成氏。キーエンスを退職後、中小企業から大企業まで多くの会社を指導する中でずっと感じてきたモヤモヤは「キーエンスと他社の違いは何か」というものでした。
その答えが、「日々の活動が性弱説に基づいているのかどうか」。キーエンスの制度を細部まで解説し、一般的な会社とどう異なるのか、どういう視点を持てば変えていけるのかを丁寧に伝えます。
「キーエンスと同じ水準でできるわけがない」と躊躇する必要はありません。一部の分野だけでも、キーエンスの半分程度の密度で働けるものを持てれば、その人はその時点で、一般的な会社において間違いなく優秀な社員になっています。
どうしてこの本を選んだか
Amazonの一覧に出てきた。キーエンスは高収入で有名な計測機器メーカーであり、優秀な企業がビジネス的な観点で何か得られるものはないかと思い購入した。
感想
今までキーエンスについてあまり知らなかったが、計測機器を作り、さらにそれを営業として販売しているようだ。計測機器は相手のメーカーに合わせたオーダーメイドになっており、お客さんからのヒアリングの結果をもとに作っている。そのヒアリングにもコツが必要で、現場でどのような困りごとを聞き出すかといった営業の観点でキーエンスが取り組んでいるアプローチが書かれていた。性弱説とあるが、人は甘えてしまうからシステムで縛ろうということが書かれている。先日読んだ「失敗の科学」にもある通り、人にミスの責任を負わせるのではなくシステムとして解消するという点では主張が同じで、やはり優秀な会社はそういうところに力を入れているのだろうと改めて思い知らされた。
今後への活かし
「失敗の科学」でも出てきたような内容なので、同様のアプローチで取り組めばよいと思う。一つ新しいこととして、面談の仕方がある。後輩のメンタルケアに向けてアドバイスのフレームワークとして活用できると思うので読み返してみたい。
Notes
- 売価が高くても売れる用途を先に探して、そこから商品をイメージする。
- 人は本来は弱い生き物なので、難しいことや新しいことを積極的には取り入れたがらず、目先の簡単な方法を選んでしまいがち。
- 開発情報は放っておいても取れないから、ヒアリングシートのフォーマット化やロールプレイングの充実で開発情報を集められるようにしようと、性弱説の視点で仕組み化を進める必要があるのです。実際、キーエンスの営業担当者は口癖のように「今どうやっているのですか」と質問します。
- KPIなどの数値で上司と担当者が目標を共有する。押し付けではなく、現場目線で項目や数値を定める。全部ではなく、やりたいものから選んでもらう。
- 面談の質向上で成功確率アップ。事前報告を基に結果確認。相談の進展、成功、教育の精度速度アップ、モチベーション向上→成長が早くなる。
- 謝罪したら次は同じ失敗をしないのかという点です。筆者は多くの企業で販売系の会議を見てきました。その中には謝罪だけで済んでいる会議が珍しくありません。そのたびに謝罪だけでは次も同じ失敗をする可能性がありますよと、その企業の経営者や部門長にアドバイスをしてきました。しかし、ほとんどの場合、謝罪をするならば本人も反省しているだろうから、次は同じ失敗をしないでしょうという安易な性善説に基づいて、具体的な対策はしませんでした。
- 1分単位の時間管理、仕事の密度、ハッピーコールで真偽を確認。こういった言葉だけを見ると、とにかくたくさん働かせる組織だと見えるかもしれません。しかしながら、私はこれらのキーワードの真意がそこにあるとは考えていません。頑張る人に損をさせない、嘘をつく人に得をさせない。これらに主眼があります。
買ってねー
おすすめ度:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
キーエンス流 性弱説経営 人は善でも悪でもなく弱いものだと考えてみる