概要
【会計の名著、新装版として登場】
バブル経済に踊らされ、不良資産の山を築いた経営者は何をしていたのか。儲けとは、値決めとは、お金とは、実は何なのか。身近なたとえ話からキャッシュベース、採算向上、透明な経営など七つの原則を説き明かす。ゼロから経営の原理と会計を学んだ著者の会心作。
会計をまったく知らなかった技術者が、27歳で京セラを創業後、どのように会計と向き合ってきたのか、その変遷は興味深い。経理の担当者が「会計上はそうなる」と説明しても、それに屈せず、「人間として正しいことをする」という原理原則を突き通した姿は、バブル経済時にもまったく変わらなかった。いま読んでも、会計を軸に経営を回していく情熱は、読む人に感銘を与える。
どうしてこの本を選んだか
受託開発会社に転職し、社員数の少ない会社で働くことになった。以前のSESでは客先常駐で定額の収入が入るモデルだったが、受託開発では案件を受託・納品する形態のため、利益を意識する必要がある。会社の規模を考えると自分も経営的な視点を持ちつつ案件に取り組む必要があると感じた。将来的に会社経営に関わることも見据え、会計やキャッシュフローを自分ごととして把握するために、京セラ創業者・稲盛和夫の著書である本書を購入した。
感想
京セラ創業者の稲盛和夫は元々エンジニアでありながら京セラを創業し、どうやって会社を大きくするか、世の中に貢献していくかを常日頃から考えていたことが本書から読み取れる。エンジニアでありつつも、自身の創業した会社をどのように成長させていくか、どのような点に取り組めば満たされるかという哲学を読み取ることができた。エンジニアというのは営業もそうだが、経営が下手な人が多い印象を受ける。日本が経済大国となった柱には、このようなことを真摯に考えた経営者がいたということを改めて気づかされた本である。学べることが多く、エンジニアとしての哲学も書かれていたので、そういった面でも参考になる本であった。
今後への活かし
会社というものは社会貢献、ひいてはお客様への利益になるような組織でなければならない。お客様に対するリターンに対して無駄なものを作らない、あぐらをかくような真似はしてはいけないというのが稲盛和夫の哲学であり、経営の本質であると書かれていた。自分の考えとも一致するところが大きい。自分の中では無駄なことはしていないつもりであるが、時折自分を振り返って、無駄なことや不義理なことをしていないか確認する機会を持てたらいいと感じた。
Notes
- 私は27歳の時に京セラを創業し、ゼロから経営を学んでいく過程で、会計は現代経営の中核をなすものであると考えるようになった。企業を長期的に発展させるためには、企業活動の実態が正確に把握されなければならないことに気づいたのである。
- このような歩積や両建てという慣行は、銀行の実質収入をいくら上げるための方便にすぎないと批判され廃止された。これを見て私は「いくら常識だといっても、道理から見ておかしいと思ったことは、必ず最後にはおかしいと世間でも認められるようになる」と自信を持った。
- もうかったお金がどういう形でどこに存在するのかということをよく把握して経営する必要があると、そのとき私は痛感したのである。
- 人間というのは、調子がいい時にはみんなフェアで文句を言いません。ところが、悪い時にもフェアであるかどうか、それを私が見抜かなければいかんのです。
- 企業は永遠に発展し続けなければならない。そのためには、企業を人間の体に例えるなら、体の隅々にまで血が通い、常に活性化されている引き締まった肉体を持つものにしなければならない。
- 投機というのは、ゼロサムゲームと言われるように、基本的に誰かが他のものの犠牲の上に利益を得ることである。だから、もし投機的な利益を得たとしてもそれは、世の中に対し、新しい価値を作り出したことにはならない。本当の経済的価値、すなわち人間や社会にとってプラスになるような価値は、投機的活動によって増加するわけではないのである。
- 消費する資材を少なくすること。これはとりもなおさず、倹約精神に徹することである。お客様が必要とする製品やサービスを提供するために費やす、あらゆる支出に一切の無駄があってはならない。
- 業績を見ますと、今年売り上げは伸びましたが、利益率は少し下がって、これまで確保していた5%を割り込んでいます。これには非常に注意を払う必要があります。売り上げが伸びれば経費も増えるのは当然だと思っていますと、経費は売り上げの伸び以上に増えてしまうものです。ですから、利益が伸びたと喜んでるわけにはいかないのです。それよりも利益率が下がったことを大きな問題として真剣に考えなければなりません。
買ってねー
おすすめ度:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
稲盛和夫の実学 経営と会計