概要
あのジョージ・ソロスを大儲けさせた”伝説のコンサル”初の著書。
ヘッジファンドが見すえる中国の衰退、そして日本復活。
資産運用業界の”黒子”に徹してきた私が、なぜ初めて本を書くことにしたのか。
それは、日本の方々に伝えたいメッセージがあるからだ。
ひとことで言えば、日本は今、数十年に一度のチャンスを迎えているということだ。
どうしてこの本を選んだか
自分は前々から資本主義という経済の仕組みに疑問を抱いている。
たとえば、株価の利回り3%で資産運用をしたとして、その人が1億円持っているとしたら、ずっと寝ていたとしても300万円以上の価値を市場にもたらしたと評価されることになる。
1億円持っているだけで、社会に対して300万円相当の貢献をしたとみなすのはどう考えてもおかしい。
2億円持っていれば、いわゆる普通の会社員の「できる人」の部類ぐらいの生産性を、寝ているにもかかわらず上げていることになる。どう考えてもおかしい。
「本当に頑張っている人の給与よりも、財産をあらかじめ持っている人たちの方が生産性が高いというのは不自然だ。」
そう思って、資本主義という経済の在り方に疑問を持っている。
Amazonでおすすめが流れてきた際、その疑問を同じように問題提起している本書を見かけたため、購入した。
感想
自分にとって経済というのは専門外だし、今まで全く関わったことがない。
株は一応やっているが、経済的な観点から運用しているわけでは全くない。
本書はジョージ・ソロスが資産運用を依頼していたという経験のある人が記している。
読んでみると、いろいろ強烈なことが書いてあった。
日本の失われた30年というのは、日本の政策が誤っていたわけではなく、アメリカに操作されていることが書かれていた。
今の経済はアメリカの一部の人が操っているものであると記されていた。
アメリカが経済の中心であり、それを取り巻く環境をアメリカ自身が操作しているという観点が非常に新しい。
アメリカは競争相手を衰退させるために、いろいろと外堀を埋めて経済を調整しているそうだ。
この観点は、自分が今までなかった観点である。
そう考えると、日本が衰退するのも理解できる。
その観点に立つと、国の主席がどうあがいたところで日本の経済的な発展にはあまり寄与しないことも読み取れる。
日本の高度経済成長から時は流れ、現在の経済状況をみると、いわゆるアメリカの日本いじめと言えるようなこの状態がしばらく続き、中国の台頭が目立ってくる。
日本の進展を防ぐための経済の運び方をしていたら、今度は中国が台頭してきて、アメリカを脅かす現状になってしまった。
アメリカにとって都合の悪いほどに、中国は成長してしまったようである。
であるからして、アメリカは今後、中国を同じように経済の締め付けを行い、友好国である日本に対しては優遇していくであろうというのが本書の概要である。
自分にとって全く知らないことや強烈なことが書かれていたし、経済的に不都合にも読み取れるようなことが書かれていた。
果たして本当にその通りになるかは不明だが、この本に書かれていたことを念頭に置いて今後の経済を見守っていきたいと思う。
今後への活かし
日本には順風が吹いているそうだ。
資産運用はもちろんだが、とりあえず個人として世界経済に影響を与えるようなことはできないため、自分にできることをコツコツとやるしかないのだろうと思った。
Notes
- 足元のアメリカの問題は、異なる意見の対立が決定的となり、会話が全く成り立っていない点だ。レーガンが「小さな政府」を提唱しだした時も、それ以前の価値観の裁定者であった「大きな政府」の左派リベラル層は、レーガノミクスに対し痛烈な批判を繰り広げた。ただ、両者は相手の存在や人格そのものを完全に否定することはなかった。実際、レーガンはルーズベルトの指導力を評価していると公言している。ところが今のアメリカは同じ色を指し、一人が青だと言い張り、もう一人は赤だと言い張る状況だ。つまり、会話の大前提の認識さえ異なっているのだ。
- 世界中、オーガニックに発生した社会を見れば、そこには長い時間をかけて築かれた土着的、伝統的な価値観、文化、風習、言語、個人の社会的役割等に関する縛りがある。それに対し、新自由主義は性別、年齢、国籍、宗教、文化、人種といった属性を超越するグローバル市民を評価したが、その価値観はあまりにも新しく人工的な匂いがする。
- 私が大手都銀を辞めて単身留学するという選択をしたとき、それはかなり難しく、リスクの高いものだった。渡米を相談した私の友人がそのことを母親に話したとき、こう言われたそうだ。「あんた、騙されているのよ。斉藤君が銀行を辞めるわけないじゃない。」と。実際、今思えば明確な勝算はなかった。むしろ、沈没する船からネズミが逃げ出すような感覚に近いものだったと思う。しかし、この本能的な勘が大切なのだ。後にヘッジファンド業界で成功する人、失敗する人を山ほど見てきたが、リスクを見極める直感と嗅覚を研ぎ澄ますことが、生き馬の目を抜く国際金融業界でサバイバルするうえでは重要だ。
- 逆に言うと、「がっぽり儲けて贅沢な暮らしをしたい」といった浅薄な動機では、ヘッジファンドのオーナーとしてやっていけないと思う。今この瞬間を生きているという快感であれ、その裏返しの恐怖やコンプレックスであれ、その人を駆り立てる強烈なドライブがないと、勝負を挑み続けることはできないと思う。
- あるシステムの中で育つと、無意識のうちにその基調的な価値観や前提を受け入れ、フレッシュな第三者の視点で見つめ直すことができないことがある。私にとってトランスジェンダーであることは強いコンプレックスの根源だったが、前提となるシステムを疑う、ソクラテス風に言えば「無知の知」が培われたことは幸いだった。
- 私は、新自由主義という様々な行動の根底にあった世界観が瓦解し、勝者と敗者が入れ替わると確信している。つまり読者の皆さんの生活を規定してきた「常識」も大きく変わるはずだ。
- アメリカが態度を変える「二つの条件」。1980年代から1990年代にかけての日本の経験を吟味すると、次の二つの条件が共に満たされるとき、アメリカが容赦ない圧力をかけてくることがわかる。①経済政策の基本的前提(世界観・統治観)をアメリカが大きく変化させる。②競合国のGDPがアメリカの50%近くに迫る。この指標は、今後の米中関係の行方を予想する上でも貴重な視座を提供してくれる。
- 日本には再び順風が吹いている。それを忘れないでほしい。いや、むしろしっかりと認識してほしい。
買ってねー
おすすめ度:⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️
世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ