概要
Googleを辞めて、なぜ楽天へ?
マッキンゼーなど11職を渡り歩いた男が今、選んだのは日本の老舗IT企業だった――。
ネット登場から20年。普及期を終えたITは、
もはや印刷や農業などあらゆるビジネスを書き換える成功原理である。
数々のIT企業にいたからこそ知り得た、ITビジネスの原理をこの一冊で圧縮体験する。
パズドラ月130億円、LINE3億人、なぜ大成功したのか?
Facebookはなぜマネタイズに苦しむのか?
Googleグラスに秘められたウェアラブルの本質とは?
LINEスタンプとiモード絵文字に共通する仕組みとは何か?
Amazonと楽天の決定的な違いはどこにあるのか?
Yahoo!が勝ち取った「純粋想起」の原理とは?
どうしてこの本を選んだか
どこかのYouTubeチャンネルでおすすめの図書として紹介されていたので購入した。
正直タイトルだけだとちょっととっつきづらそうな難しそうな印象があり、
タイトルだけでは惹かれなかった本ではあった。
しかし、IT業界に携わる者としてITビジネスとはそもそも何なのかといったところに興味があったので購入してみた。
感想
IT業界に身を置く者として、なぜITに価値があるのかといったことを考えることがある。
ITは言葉の通り、Information Technology、情報伝達技術のテクノロジーである。
しかし本来、情報というものは実物としての価値がないものだ。
では、なぜ今になってこんなにITがもてはやされているのか。
個人的な見解としては、ITによって情報を運ぶという部分を簡略化したため、
そのコストをITが埋めることによって安くなる。
その安くなった分のコストがITの生産性としての評価になるのだろうと自分なりには考えている。
実際にこの本を読んでみて、自分の考えと似たようなことが書かれていたのが少し嬉しかった。
ITでなぜお金が稼げるのかというと、そもそもの商売の基本として、
価値の低いものに付加価値をつけて価値を高くして売るというのが商売の基本だ。
ITというのは、その価値が低い場所と価値が高い場所を即座につなげることができ、
ITを用いずに売った場合に比べて差額が生まれるため、そこにITの価値があると書かれていた。
要するに、情報伝達で金を稼ごうというのがITの本質だ。
そこに関しては、自分と考えが合致している。
面白かったのが、ハイコンテキスト・ローコンテキストという言葉だ。
日本人はよく気を使うとか、空気を読むとか、言葉にならないような絶妙な感覚をつかんで埋めるという性質がある。
本来であれば、情報伝達としてこの情報も届けなければならないだろう。
今の空気感はこういう状況であるといったものを伝えるというコストがかかる。
しかし、ハイコンテキストの性質でこのあたりの「空気感」をしっかりと把握できるのであれば、
そこは非IT的な意味で価値が生まれるという見解は面白いものであった。
要するに、情報を送るということをいかにローコストで行うか。それがITビジネスの本質なのだろう。
昨今はIT・AIだと言って独り歩きしているような気がする。
本当にそのものに価値があるのかといった議論がされないまま投機的にお金が投下されているように思う。
この本は、そこに一つの回答を提示しているので、とても興味深いものだったと言える。
また発行されたのが2014年と今からだとやや古くなっている。
十年前といったらAIの話も出てこないようなまあまあ前だが、
そこから大きく現在の業界の体質は変わっていないという本質的なところをついているようにも感じた。
ITに携わっているのであれば、ぜひ読んでほしい良書であった。
今後への活かし
商売の基本となる「価値の低いところから価値の高いところに流す」というのが本質だ。
自分の持っているものが価値があまり高くないと感じていても、
場所によっては実は非常に高い価値を持っている可能性があるということを改めて認識させられた。
情報収集をしつつ、価値差分が生まれるような場所を探せば、
もっと良い成果が得られるのではないかと感じた。
Notes
- 私はネットワークやITは「自己実現を加速するもの」であり、「人を幸せにするもの」だと思っているが、現在のIT環境は、進化が早すぎる故の歪みも抱えているひとつの踊り場に入りつつあるのではないかとも感じている。
- 逆の言い方をすると、ビジネスで利益を得るためには、この場所による価値の違いを正しく認識しなければならないということである。売ろうとしている商品の価値が最も低い場所と高い場所をちゃんと把握できるかどうかが最初の関門になる。
- 世界中に散在しているユーザーを一箇所に集めて、そのユーザーにお金を出して欲しいと思っている企業や人と結びつける。マッチングするのがインターネットのビジネスなのである。
- こうした何のヒントや手がかりもなく、ブランド名などを思い浮かべることを純粋想起というが、この純粋想起をとってしまうのが最強なのである。だからまず頭に思いついた場所に行く。だから純粋想起を取ったサイトに人は集まるのである。
- ユーザーがお金を払うかどうかは、情報の対価だけでなくて、その情報を調べる時間や支払いにかかる時間、手間、そういったトータルのコストに合うかどうかで決まる。情報そのもののコスト、その情報を探すための検索コスト、情報を手に入れるために必要なコスト。この三つを合わせたものが価格に見合うかどうかである。
- アメリカ人は「ローコンテクスト」だから言わないとわからない。でも、日本人は「ハイコンテクスト」だから言わなくてもわかる。言葉にして説明するのが苦手というよりは、むしろ言葉にする必要がないのである。(中略)このハイコンテクストはこれからのインターネットITビジネスを考えるうえで最も重要なキーワードであるというのが私の見解である。
- グローバル社会は英語だ、これからは英語が重要だということを言う人が多いけれども、本当にイケているグローバル企業は英語よりも非言語化を重要視しているのではないか。その証拠に、Nikeやスタバのロゴからは英語表記が消えた。英語という言語ではなく、アイコンだけで非言語のコミュニケーションを志向しているのではないかという話である。
買ってねー
おすすめ度:⭐️⭐️⭐️⭐️☆
ITビジネスの原理